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Chediak-Higashi症候群・Griscelli症候群, type2

  • Chédiak-Higashi 症候群
  • Griscelli 症候群

【監修】
広島市民病院
安井 耕三先生

原理

Chédiak-Higashi Syndrome(CHS)は、白血球の原形質に巨大顆粒を有する免疫不全症であり、常染色体劣性遺伝疾患である。食細胞(とくに好中球)の数的減少、機能異常(遊走能低下・食胞内での殺菌の遅延)が存在し、乳児期早期より感染症を反復する。
食細胞内巨大顆粒は直径1〜3μmの多数の顆粒からなり、形態は不整でmyelo-peroxidaseやacid-phosphatase陽性である。食胞と巨大顆粒の融合障害により、食胞内の細菌は生き続けることになる。
単球機能にも異常があり、ウイルス感染が致死的病態をもたらす。責任遺伝子は1q43に存在するLyst (lysosomal trafficking regulator)である。Griscelli 症候群(GS)の臨床症状は、最重症型のRab27A遺伝子異常ではCHSとほぼ同様であるが、その他の責任遺伝子Myo5AMLPH異常では比較的に軽症である。
いずれの遺伝子も細胞内膜輸送機能に関連するタンパクを発現する。

特徴・症状

  • 両疾患とも体細胞にメラニン分布異常が存在し、皮膚、毛髪、眼などに部分的白子症がみられ日光過敏症を呈する。
  • CHSの自然経過・平均寿命は5歳前後であり予後不良な疾患である。
  • GSでは好中球内の巨大顆粒は認めない。
  • NK細胞活性・腫瘍細胞に対するキラー活性が選択的に障害されている。
  • NK細胞による標的細胞障害過程には、可溶性細胞障害因子(パーフォリンなど)の放出機能が必須であり、疾患の増悪期(accelerated phase)には、リンパ腫様病変を呈する。とくにEBウイルス感染が注目されている。
  • 神経症状は幼少期には目立たないが、進行性の知能障害・ケイレンおよび重篤な脳神経障害・小脳失調・末梢神経障害が出現する。
  • 神経細胞内で小胞を形成する情報伝達物質の輸送障害が一因とされる。
  • 毛髪内のメラニン顆粒の分布にCHS、GSで差が存在し鑑別に利用されている。

治療法

本疾患の救命には血液幹細胞移植が絶対適応である。
しかし一方移植により易感染性は改善し救命されるものの、その後も前述した神経症状の進行を抑制できないことが判明し、移植後に患者が重篤な小脳失調症に陥ることが報告された。

トピックス

Griscelli症候群2型(Rab27A遺伝子異常)は乳幼児期に発症し、重度の免疫機構障害を合併する常染色体劣性の遺伝性疾患であるが、Chédiak-Higashi症候群のように骨髄系細胞の巨大顆粒は認めず重要な鑑別点である。
Hermansky-Pudlak症候群も類縁疾患とされるが、重要な症状は出血性素因であり、重症型のAP3遺伝子異常(3型)は日本人では報告が無い。

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