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リンパ増殖症候群

【監修】
富山大学
金兼 弘和先生

原理

X連鎖リンパ増殖症候群(X-linked lymphoproliferative syndrome; XLP)は1975年にPurtiloらによって報告されたEBウイルス(EBV)に対する特異的免疫応答の欠陥を有する先天性免疫不全症である。患者家系の名前に由来してDuncan病とも呼ばれる。
1998年に原因遺伝子SAP/SH2D1Aが同定された。SAPはT細胞のSLAMやNK細胞の2B4の細胞内ドメインと結合し、T細胞やNK細胞における細胞障害活性を亢進させ、EBV感染B細胞の排除に働くと考えられる。SAPはSLAMや2B4以外のさまざまなSLAMファミリー分子と結合することがわかっており、このことがXLPの多彩な臨床表現型と結びついているのかもしれない。
XLPの約20%は染色体上SAP/SH2D1Aのごく近傍に局在するXIAP/BIRC4変異によるものであり、XLPタイプ2として区別される。XIAPはアポトーシスを抑制する蛋白であるが、XLPとの病態の関係は未だ明らかではない。

特徴・症状

臨床症状が多彩であり、家族歴が明らかでないと臨床診断が困難なことがある。致死的伝染性単核症(60%)、異常γグロブリン血症(30%)、悪性リンパ腫(30%)が特徴であるが、再生不良性貧血、リンパ性血管炎、リンパ性肉芽腫などの表現型も数%ずつ存在する。同一家系内で異なる表現型をとることもしばしばである。約10%はEBV感染とは無関係に発症する。
XLPタイプ2(XIAP欠損症)の臨床症状はXLPタイプ1(SAP欠損症)とはやや異なり、血球貪食性リンパ組織球症(反復するものが多い)や低ガンマグロブリン血症はしばしば認められるが、悪性リンパ腫の報告はない。XLPタイプ2に特徴的な所見として出血性腸炎ならびに脾腫がある。

診断

確定診断には遺伝子診断が欠かせない。点変異のみならず、複数のエキソンを含んだ大欠失も稀ではない。
フローサイトメトリーによる簡易診断法が開発され、SAPおよびXIAPに対するモノクローナル抗体を利用して、細胞内蛋白の発現を評価することによって、診断可能である。
さらにTCRVα24+Vβ11+のナチュラル・キラー(NK)T細胞の著減も報告されており、これらを組み合わせたフローサイトメトリーによるスクリーニングがXLPの診断に有用であり、富山大学医学部小児科学教室で随時行っている。

治療法

臨床表現型に応じた治療が必要である。致死的伝染性単核症は死亡率が90%以上であり、診断後は速やかにシクロスポリンAやエトポシドを中心とした化学療法を開始する。唯一の根治的治療は造血幹細胞移植であり、適合ドナーが見つかれば早々に移植を行うことが勧められる。

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