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選択的IgGサブクラス欠損症・IgA, IgGサブクラス欠損症

【監修】
岐阜大学・国立病院機構長良医療センター
金子 英雄先生

定義・概念

IgGサブクラス(IgG1, IgG2, IgG3, IgG4)のうち1つないしいくつかのサブクラスの欠乏ないし低下を示すものをいう。IgA欠乏を伴うものもある。単独のサブクラス欠乏症はIgG1~IgG4のすべてにつき報告されている。IgG2欠乏症はIgG4欠乏症、さらにはIgA1欠乏症を伴っていることもある。頻度的には小児ではIgG2欠乏症が、成人ではIgG3欠乏症が多いといわれている。

病因・病態

IgGの各サブクラスの割合は、IgG1: 65~70%, IgG2: 20~30%, IgG3: ~8%, IgG4: ~2%である。各サブクラスとも、IgG2, IgG4は遅れて増加する傾向がある。総IgGと同様に、生後6ヶ月ごろに、低値となり、その後、徐々に増加してくる。IgG2,IgG4は細菌の多糖体抗原に対する主な抗体といわれており、IgG2の欠乏は、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、ナイセリア菌に対する易感染を生じる。IgGサブクラス欠乏症の病因の一つに、このクラススイッチの調整異常が考えられるが、その詳細は不明である。特に、IgG2、IgG4、IgAの欠乏症については、免疫グロブリン定常部領域遺伝子の配列と考え合わせると興味深い。実際、IgA1-IgG2-IgG4の領域の大きな遺伝子欠損などが報告されている。著者ら(1998)は選択的IgG2欠乏症の病因として膜型IgG2の異常により分泌型IgG2が産生されない病態を明らかにした。本症の病因はこれら以外にも多彩であると考えられる。

臨床症状・所見

易感染性を示すが、その程度はXLA等に比し軽いことが多い。なかには無症状のものもある。IgG2欠乏症では肺炎球菌、インフルエンザ桿菌による反復性の気道感染が認められることもある。中耳炎は難治性で完治しないまま増悪を繰り返すことが多い。

診断

血清IgGサブクラスの測定によるが、健康人のIgGサブクラスにはかなりの幅があり、また年齢によっても異なるので、異常値の判定は、例えば経過を追って複数回測定するなど慎重に行う必要がある。これにより、一過性の低下症を除外できる。IgG2欠乏の場合、年齢にもよるが30mg/dl以下を欠乏症とし、30~80mg/dlの場合には経過を追うことと、肺炎双球菌、インフルエンザ菌などの多糖体抗原(IgGのなかではIgG2とIgG1が特異抗体活性をもつ)に対する抗体の測定も有用である。全身性エリテマトーデスなどに合併する場合もあるので、原発性かどうかの判定も慎重に行う。

治療

感染症に対する抗生物質の投与に加えて、易感染のある場合にはXLAの場合に準じてガンマグロブリン補充療法を行うこともある。ただし現時点では保険適用がされていない。

参考文献

  • 1) Asano T, Kaneko H, Terada T, Kasahara Y, Fukao T, Kasahara K, Kondo N. Molecular analysis of B-cell differentiation in selective or partial IgA deficiency.
    Clin Exp Immunol. 2004 136:284-90.
  • 2) Tashita H, Fukao T, Kaneko H, Teramoto T, Inoue R, Kasahara K, Kondo N. Molecular basis of selective IgG2 deficiency. The mutated membrane-bound form of gamma2 heavy chain caused complete IgG2 deficiency in two Japanese siblings.
    J Clin Invest. 1998 101:677-81.
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